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ハートで感じる英文法 決定版
累計48万部突破のベストセラー「ハートで感じる英文法」シリーズの2冊(『NHK3か月トピック英会話 ハートで感じる英文法』『同 会話編』)が、さらに読みやすくなって1冊に!ネイティブスピーカーが持つ英語の「感覚」を、厳選された24のトピックで解説。「本当はこんな感覚だったのか!」と驚きをともなって納得できる“目からウロコの英文法”。NHK「ラジオ英会話」講師・大西泰斗氏の、英文法書の原点とも言える決定版。
みなさんこんにちは。大西泰斗です。
昨今「やり直し」英語学習がブームですが、そのやり方に私は大きな疑問を持っています。みなさんは中学・高校時代、それなりに勉強しましたよね。中学・高校でまったく学習してこなかったなら別でしょうが、社会人になったあと、英語力——特に会話能力——を切実に必要としているような方々なら、まじめに英語に取り組んだ歴史をお持ちだと思うのです。さて、中学・高校時代、英語が話せましたか? その時点で英語が話せなかったとしたら、同じことを「やり直し」ても話せるわけはないのです。
みなさんが英語を話したいなら、やるべきは、結局話すことができなかった過去の学習を繰り返すことではありません。そうではなく、英語への態度の根本を改めることが必要なのです。どう改めるのか。もちろんネイティブスピーカーの意識に同調するように、です。
私たちが学んできた「英語」は表面的です。英単語はどう学んできましたか。日本語訳を覚えただけではありませんか。文法はどうでしょう?
文法規則・語法を納得することなく、「暗記物」として頭に入れただけではないでしょうか。それをどう実践に生かしましたか。大学受験読解問題で日本語訳をしただけではありませんでしたか。その学習のどこにも「ネイティブスピーカーが感じている・使っている英語」はありません。上手に日本語訳ができる能力——私たちがこれまで培ってきたのはそうした「英語力」にすぎません。
日本語訳の束縛を離れれば、英単語は深く・感覚的であることがわかります。文法事項は単なる暗記事項ではなく、それぞれの項目は感覚的に納得できるものであり、暗記をしなくても自由に使いこなせるものだということがわかります。感覚でできているからこそ、英語は誰しもが使える道具たりえているのです。
本書は英文法全体を漏れなく、という形式を取ってはいません。英語への認識を改めるために全体を学習する必要はありませんし、それではかえって遠回りです。もっとも誤解されてきた話題をピンポイントで矯正していくだけで、みなさんの英語に対する誤解・苦手意識は氷解します。
英文法を「やり直そう」とお考えの方、まずこの本をお読みになってください。英語を話すためにやり直さなければならないのは、個々の文法事項ではなく、英語に対する考え方そのものだということがすぐにご理解いただけるはずです。伝統的な学習で細部に至る知識を十分お持ちの方であれば、この本を読むだけで大きな英語力の改善を見ることができるかもしれません。
さあ、英語の本当の姿を探す旅に出かけましょう。
大西泰斗
(補足)本書は、2006年に出版された2冊の本をまとめたものであり、現在私が他の著作やラジオ番組などで解説している内容と用語が異なるところがありますが、あえて当時のまま残しています。伝統的な学習を重ねてきた学習者には、最適な用語選定、説明手法だと今でも思うからです。