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戦後ゼロ年 東京ブラックホール
ヤミ市、隠匿物資、占領軍、地下政府、新興宗教、そして日本人立ち入り禁止の「東京租界」。焼野原となった占領都市TOKYOにいったい何が起きていたのか――。
CIA文書、GHQ検閲記録などの発掘資料を基に、1945年8月から翌年8月にいたる“空白の1年”を再構築する。
これまで語られなかった1年に分け入る、衝撃のノンフィクション。
2017年8月に放送され、話題を呼んだNHKスペシャルが待望の出版化!
戦後の東京にまつわるいくつもの歴史の断片がひとつの像を結びつつあったとき、真っ先に脳裏に浮かんだのは、ブラックホールということばだった。莫大なエネルギーを一点に凝縮させ、周囲の時空をゆがめる強力なパワーを持つブラックホール。そこからは外へ一切情報が出てこないため、内部の構造を知ることができない。
ヤミ市、東京租界、地下政府、軍の隠匿物資、皇居、そして占領軍――。
戦後ゼロ年の東京には、いたるところに、ブラックホールが存在していた。いずれも、戦後日本の時空をゆがめるほどのすさまじいパワーを持ち、その内部には、容易にはうかがい知れぬ謎、秘密、謀略が詰め込まれていた。
この本では、戦後ゼロ年の東京、すなわち、一九四五年九月のマッカーサーによる東京進駐から始まって、翌年の夏、敗戦一周年を迎えるまでの虚脱と狂乱の一年間を、おおむね時の流れに沿い、追体験していく。そして、新たに発掘された資料や映像を手掛かりとして、いままで視界をさえぎっていたブラックホールに分け入り、戦後ゼロ年の時空を俯瞰するパノラミックな透視図を作ってみたいと思う。
もし、その透視図を現在の東京の姿と重ね合わせることができれば、なぜ日本社会がこうなっているのか、その仕掛けがおのずから透けて見えてくるに違いない。
戦後ゼロ年の「東京ブラックホール」には、時空を超えた通路がある。
おそらくその通路は、七三年後のいまに直結する、秘密の抜け道になっている。