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リアリティ+(プラス) 下
はたして私たちは自分がいまシミュレーションの世界の中にいる可能性を排除できるだろうか。すなわち例えば、『マトリックス』のネオのように、自分では気づかずに機械の生み出す仮想の世界を生きている、という可能性を排除できるだろうか。そして、もしそれができなければ、いかにして私たちは自分がいま生きている世界が偽りのバーチャル世界でないことを確かめられるのだろうか。これが本書で取り組まれる中心的な問題である。チャーマーズはこれにさまざまな角度からアプローチするのだが、彼は究極的には《私たちは自分がシミュレーションの世界を生きている可能性を排除できない》という点を認める。
――山口尚 本書「解説」より