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「農民画家」ミレーの真実

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NHK出版新書 427

「農民画家」ミレーの真実

[著] 井出洋一郎

発売日 2014年02月08日

新書

在庫あり

定価 902円(本体820円)

送料 110円

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商品紹介

ミレーは論争の種をまく

一九世紀フランスでは酷評され、日本やアメリカでは「敬虔で道徳的」と礼賛されたミレー。特に日本では、明治期よりミレーを偉人としてあがめてきたことが、画家の実像を見えにくくした。同時代の画壇を震撼させた革新性、農民画に留まらない画業の多様性、ミレー作品の現代性を明らかにしながら、毀誉褒貶に満ちた「清貧の農民画家」の真の姿に迫る。

 明治期に日本人が西洋絵画を受容し始めたころから、ミレーは貧乏で敬虔で道徳的な求道者として、カリスマ的ともいえる人気を博してきました。ミレーにかぎらず、西洋絵画をありがたがり、画家を偉人に祭り上げる風潮は、現代にも多かれ少なかれ受け継がれているのではないでしょうか。夏目漱石は『文学論』の中でミレーについて「去って田園のうちに隠れ、貧に処し、名を忘れ……」と語っていますが、ミレーご本人が聞いたら「誰のこと?」と思うかもしれません。
 この本では、ミレー研究の第一人者である著者が「ミレー神話」の真偽を明らかにし(思わず苦笑するようなことも、ミレーは多々しでかしています)、さらに、聖人的なミレー像を仕立て上げた「黒幕」にも斬り込みます。神話が解体された後に残るのは、「ミレーは画家以外の何者でもない」という事実。そして、そこにこそミレーの真価があるのです。
 作品にまつわるエピソードを知ることもまた、美術ファンの楽しみのひとつです。たとえば、山梨県立美術館とボストン美術館所蔵の2つの《種をまく人》は、同時期・同構図の作品ですが、なぜミレーは2点描いたのか。サロン(官展)出品作はどちらなのか。絵画をめぐる謎に挑むには、作品自体の分析はもちろん、画家の志向や画歴、生活状況、関連作品、同時代の文献、時の政治経済、パトロンや画商との関係、画壇の潮流、修復歴など、さまざまな角度からの検証が必要です。カンヴァスの表も裏も、そしてエックス線撮影で絵の具の層の内側まで覗いた著者が、《種をまく人》の謎に迫ります。皆様も謎解きにご参加ください。
 本書では、ミレーのカラー図版23点を含む90点の図版を掲載しています。この本でミレーの多彩な魅力を楽しまれた後は、ぜひ、実際の作品を見に美術館へお出かけください。特に2014年は、ミレー生誕200年を記念して日本で2つの大きなミレー展が開催され、ミレー鑑賞には絶好のチャンスです。
(NHK出版 徳田夏子)

目次

第一章 《種をまく人》がまいているのは何か?――ミレーの革新性
第二章 ミレーの生涯と画業の変遷――ミレーの多様性
第三章 ミレーは本当に清貧か?――ミレー神話の形成過程
第四章 さまよえる魂の画家――ミレーの現代性

商品情報

発売日
2014年02月08日
価格
定価:902円(本体820円)
判型
新書判
ページ数
248ページ
商品コード
0088427
Cコード
C0271(絵画・彫刻)
ISBN
978-4-14-088427-0