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恋愛詩集
出会い、片恋、成就、激情、エロス、裏切り、別れ、追慕……。古今東西の詩人は愛の諸相をいかにうたってきたか。詩人・小池昌代独自の鑑賞眼で厳選された43篇が、どこかに置き忘れた感情を呼び覚ます。恋愛中の人はもちろん、そうでない人、ふだん詩になじみのない人にこそ読んでもらいたいアンソロジー。好評『通勤電車でよむ詩集』待望の続編。詩人略歴つき。
詩人の小池さんは小説、エッセイ、書評と多方面で活躍しながら、ずっと「どうして詩が現代人から遠いものになってしまったのか」を自らに問いかけながら創作を行ってこられました。
少し前、情緒的であいまいなフレーズがJ-POPや不動産の広告、政治や行政の場にまで氾濫している状況が「社会のポエム化」といわれたことがありました。そのときも、小池さんはずいぶん長いあいだ、言葉が消費されている状況について考え込んでおられました。「ポエム」と「詩」はどう違うのか。詩を詩たらしめているものは何か。詩として書かれてはいないが詩情をかきたてることばはどう捉えたらよいのだろう――。
恋愛は、語ろうとすればそれこそ「ポエム化」しがちな難しいテーマです。古今東西の詩人たちは陳腐化、常套句化をいかに退けて表現してきたのでしょうか。
そのひとつの答えが本書です。
ひとつひとつのことばやスペースに込められた、気の遠くなるような緊張感、切実さ。解釈は人それぞれに開かれているのに、自分だけのために書かれたような気になる包容力、深み。
結果的に、どの作品も「恋愛」のなかにおさまらず、人生一瞬一瞬のかけがえのなさに深い想いを抱かせるものばかりとなりました。
詩集なんて読んだことがない、という方にこそ手にとり(全帯のマットPP加工が手にしっとりなじんで、思わず撫で回してしまうほどの触感です)、「ポエムと詩の違い」を体感していただきたいのです。
一読、あなたは詩の豊かな世界に引きこまれてしまうでしょう。
そうしたら次はぜひ、あなたの大事な人にもプレゼントしてください。(NHK出版 福田直子)