カートに追加されました
奇妙な菌類
本物の花そっくりに化け、アリの身体を乗っ取って操り、罠を使って狩りをする……。陸上生物5億年の進化が生みだした、キノコとカビの変幻自在のサバイバル術とは!? したたかな社会生活術から地球生態系を支える驚異の能力まで、菌類たちの奇妙で面白い世界を気鋭の研究者が案内する。
地球上でもっとも種類が多い生物というと昆虫が有名ですが、「未知」という点ではじつは菌類のほうが上なのだそうです。その理由は菌類が目に見えないほど小さいから。なんと私たちが知っている菌類は、全体の1~20%にしかすぎず、そのため、「こんなヘンな菌類がいたのか!」という発見がわりとボコボコとあるのだといいます。
本書でいうと、アリの身体を乗っ取って操ってしまうキノコや、本物の花そっくりに化けたり(たとえじゃなくて驚くぐらいそっくり!)、罠や銃を使って狩りをしたりするカビなどなど……。こんなふうに哺乳類や昆虫に負けないくらいダイナミックなことを菌類がしているとは普通想像できないのではないでしょうか。
口絵のさまざまな菌類の写真を見ているだけでも楽しいのですが、もう少し読み進めていただくと、ミクロレベルで繰り広げられる仁義なき生存競争が見えてきて、ちょっと新しい世界が広がることうけあいです。(NHK出版 山北健司)