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中東から世界が崩れる
かつて「悪の枢軸」と名指しされるも、急速にアメリカとの距離を縮めるイラン。それに強い焦りを覚え、新しいリーダーの下で強権的にふるまうサウジアラビア。両国はなぜ国交を断絶したのか? 新たな戦争は起きるのか? ISやシリア内戦への影響は? 情勢に通じる第一人者が、国際政治を揺るがす震源地の深層を鮮やかに読みとく!
2016年1月、イランとサウジアラビアの国交断絶が報じられ、驚かれた方も多いのではないでしょうか。両国の共通点は、2015年に大きな転機を迎えていたことです。イランは核合意を果たして国際社会へと復帰し、サウジアラビアは若き副皇太子が実権を握るようになりました。そうした経緯があってこその国交断絶なのです。
イランとサウジアラビアは、今後の中東情勢や国際政治を占う上で、最も注目すべき国である――。本書は、そうした問題意識を出発点に書かれました。
中東はどうしても宗教過多の理解をしがちですが、それでは危機の核心を理解することはできません。本書では、宗教・政治・経済を複合的に見渡すことで、日本人には見えづらいパワーバランスの見取り図を示し、中東一帯の大再編をも鋭く展望していきます。
著者の高橋和夫先生は、中東研究の第一人者にして「解説」の名手。学問的な「正しさ」に十分配慮しながらも、一般読者が期待する「わかりやすさ」にも応えてくれました。とかく難しい中東情勢がすっきり頭に入ってくること請け合いの一冊。現在進行形の危機を理解するために、ぜひ本書をお役立てください。(NHK出版 粕谷昭大)