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AI vs.民主主義
AIが世論を誘導する――。一見信じがたい話が、「デジタル選挙戦略」としていま世界中で展開されているのをご存じだろうか。
米大統領選やイギリスEU離脱の国民投票では、
国民が無意識のうちにWeb上に提供している多くの個人情報がAIに解析され、選挙キャンペーンに利用された。
それらはパーソナル化されたソーシャルメディアの政治広告によって人々の憎悪を煽り、
個人の不安に訴えかける「マイクロターゲティング」という巧みなサイバー戦略によってもたらされたものである。
そうした「マイクロターゲティング」の手法から、SNSユーザーの心理分析、
さらには真偽をすぐに見分けるのがほぼ不可能な「ディープフェイク」まで、
デジタル選挙戦術をめぐる技術は急速に高度化し続けている。
そのひとつの端緒となったのは2016年米大統領選だった。
Facebookの個人情報の流出、および他国からの選挙介入をめぐる一連の事件は記憶に新しい。
2016年米大統領選、トランプ政権の発足、そして2年前の中間選挙の裏側で何が起きていたのか。
そしてその流れの中で2020年11月に控える、大統領選のゆくえは。
米大統領選の取材・観測を長期にわたって続けてきた「クローズアップ現代+」制作チームが、
トランプ陣営の選挙戦略を担った広告会社(ケンブリッジ・アナリティカ)の元社員やデータアナリスト、
AIによる世論操作の権威と呼ばれる計量心理学者など、“キーマン”への長時間の独占取材を敢行。
最新のAI技術を駆使した世論操作とはいかなるもので、権力者にどう利用されうるのか。
日本は本当に他人事でいられるのか。
そして今、民主主義は、テクノロジーの手によっていかに変容しつつあるのか。技術に対抗する手段は――?
世論操作の告発者や関係者らの生々しい証言を手がかりに、日本にも迫りくるその危機と民主主義の未来を探る、
渾身の取材記録。