テクノロジーの不可避な変化が向かう未来とは?
人工知能、 仮想現実、 拡張現実、 ロボット、
ブロックチェーン、 IoT、 シンギュラリティ――
これから30年の間に 私たちの生活に破壊的変化をもたらすテクノロジーはすべて、12の不可避な潮流から読み解ける。前作『テクニウム』でテクノロジ一進化の原理を鮮やかに描き出したWIRED創刊編集長による待望の最新作!
(原書タイトル:THE INEVITABLE)
世界初のデジタルカルチャー誌『ワイアード』がアメリカで創刊されたのはインターネット黎明期の1993年で、翌年には日本版が創刊され、当時学生だった僕にとってそれは、デジタル革命のマニフェストのように刺激的だった。「パソコン」がもはやギークのおもちゃではなく、まるで人類が火を初めて手にした時のような、テクノロジーによる社会変革が起こると告げていたからだ。
それから現在までに人類はどこまで歩を進めたのかを教えてくれるのが、『ワイアード』創刊編集長でもあるケヴィン・ケリーが書いた本書『〈インターネット〉の次に来るもの』だ。二〇年前、インターネットが僕らをどこに連れて行くのかは、まるで分かっていなかった。フェイスブックもインスタグラムもアマゾンもなかったし、ビッグデータもクラウドもブロックチェーンも聞いたことがなかったし、シェアリングエコノミーやオンデマンド経済の到来など考えもしなかった。
でも、そこへと至る流れはすべてそこにあった。今から振り返ってみれば、二〇年前に変化の萌芽はすでに準備されていた。だから、これから30年の間に起こる社会変革の流れも、すでにその源流が目の前にあるはずだ。それが本書のメッセージだ。三〇年後にこの二〇一六年を振り返ってみると、「あの頃はまだ何も始まっていなかった。インターネットなんてまだ何もなかった」と思うことだろう。〈その次に来るもの〉は、今目の前で、始まったばかりなのだ。
(NHK出版 松島倫明)