
このドラマの背景となる明治から大正・昭和期は、私のあこがれる女性像の時代です。世の中の色合いがどんどん変化する中で、伝統を守りつつ新しいものを取り入れ両立させていきました。ですから、今回のドラマをとても楽しみにしていました。
当時人気があった挿絵画家や女学生をテーマにした本も愛読していたので、その世界に入って、女学生たちの間ではやった「とんがらかる」なんていう言葉をつかえるのもうれしいです。
め以子は、食べることに関しては誰にも負けない執念と好奇心の持ち主です。最初はただ食い意地が張っているだけでしたが、食べさせる喜びを知ったことで、食への執念が人を生かすことのできる強い武器に変わっていきます。そのきっかけとなったのが、のちに夫となる西門悠太郎です。それまで絶対に納豆を食べられなかった悠太郎を、自分が作った料理で変えることができたという喜びが、大きな自信になったのでしょう。
西門家に嫁いだめ以子は、複雑な家族関係に戸惑い、小姑の和枝にはことごとく否定され、いじめられます。くじけそうになりながらも頑張れるのは、悠太郎がめ以子の気持ちを理解し、支えになってくれるから。そして、もうひとつの支えが「食」です。め以子は、とりあえず食べていれば大丈夫なんですね。先日いただいた台本に、め以子がワーッと泣くシーンがありましたが、やっぱり食べていないときでした(笑)。