
エリーは、国際結婚がほとんどなかった時代に、愛するマッサンのために海を越えて日本にやってきた、勇敢で個性豊かな女性です。そしてエリーと同様、私にとっても日本は初めての国。言葉もまったく話せませんでした。そんな私が朝ドラのヒロインにチャレンジするのは大きな冒険ですが、今、やってよかったと思っています。なぜなら、人生は川のようなもの。峡谷や滝は怖いけれど、そこに立ち向かってこそ美しい景色が見られるからです。
日本語で演技をするのは簡単ではありませんが、私はある意味、芝居に言語の違いは関係ないと考えています。芝居とは、役者同士の感情のやりとりで成立するものです。大事なのは言葉ではなく、表情や感情など相手から醸し出されるすべてを受け止め、刺激をもらうことだと思っています。ただ、難しいフレーズはありますね。たとえば、「夢だけじゃ生きていけまへんで」「住吉酒造」、すごく言いにくいです(笑)。
思うようにできなくて落ち込むこともありますが、マネージャーや共演者が支えてくれます。パワーの源は、日本に来て大好きになったギョーザを食べること。そして、誰よりも尊敬するクリント・イーストウッドの写真を見ることです。