Interview 尾野真千子 連続テレビ小説「カーネーション」ヒロイン・小原糸子役

NHK出版 Webマガジン

善作さんの行動は、糸子への愛です

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善作さんはすぐに怒るしたたくこともありますが、横暴な父親だとは思わないんです。うちの父もあんなふうな人でしたから。子どもを育てる親としては普通だと思っていますし、糸子もそう受け止めているはずです。善作さんはずいぶん糸子を振り回しますけど、でも、それは父の愛なんです。糸子はそう信じてるんです。たぶん、ドラマに描かれていない部分でも糸子はもっといっぱいお父さんに愛されてると思うんですよ。だから、たたかれたりしてもお父さんと一緒にいたんです。私もそうだったので。いくらひどく怒られても、次の日にはお父さんの後ろにくっついて遊びに行ったりして、甘えていました。

ドラマをご覧いただければわかると思いますが、小林薫さん、麻生祐未さんをはじめ、皆さんとても気さくで、現場は本当の家族みたいです。食事の場面などでは1シーンが終わっても、みんななかなかそこから離れなくて、ずっと会話が続くこともあります。家族とのやりとりがすごく楽しくて、まるで本当の家族の中にいるみたいに演じることができています。

だから、このドラマはひとりの女性が自分の夢を実現していく物語としてもちろん魅力的ですが、家族の物語としても見応えがあると思うんです。

私の楽しさが視聴者の皆さんにも伝わるといいな

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舞台地の岸和田の町については、だんじりを見る限り、元気のある町だなあって思います。だんじりにかける地元の方々の思いの強さには驚かされます。昔からあるお祭りを大事に守って、今もそれを次の世代につなげていくために頑張っているところがすばらしいですね。私のふるさとでも、あんなふうにみんなが心をひとつにするお祭りがあるといいのになあ。

まだまだこれからいろんな人が登場して、きっと糸ちゃんはたくさんの人とかかわっていくんだろうなと想像しています。どんな人と出会うのか、どんな俳優さんが出演されるのか、それを考えるのが楽しみです。

演じる時間が長いというのは、大変というよりも逆にワクワクするんですよ。時代が変わって、次々に新しい展開がありますから。幅広い年代を演じられることが、今はすごくうれしいんです。

渡辺あやさんの脚本がとても面白いので、このドラマを撮っていて、毎日が楽しくてたまりません。その楽しさが視聴者の皆さんにも伝わるといいなと思っています。

(『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 カーネーション』より再録)

>> ※尾野真千子さんと脚本家 渡辺あやさんとの対談(2012年1月掲載分)はこちら。
尾野真千子
尾野真千子(おの・まちこ)
1981年生まれ、奈良県出身。97年、カンヌ国際映画祭カメラ・ドール受賞作品「萌の朱雀」のヒロインとしてデビュー。シンガポール国際映画祭主演女優賞受賞。以降、映画、ドラマで活躍。2009年、NHK広島発ドラマ「火の魚」(室生犀星・原作/渡辺あや・脚本)で、第36回放送文化基金賞演技賞を受賞した。出演作に、映画「殯の森」「クライマーズ・ハイ」、ドラマ「Mother」「名前をなくした女神」、NHKドラマ「外事警察」など。

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