善作さんはすぐに怒るしたたくこともありますが、横暴な父親だとは思わないんです。うちの父もあんなふうな人でしたから。子どもを育てる親としては普通だと思っていますし、糸子もそう受け止めているはずです。善作さんはずいぶん糸子を振り回しますけど、でも、それは父の愛なんです。糸子はそう信じてるんです。たぶん、ドラマに描かれていない部分でも糸子はもっといっぱいお父さんに愛されてると思うんですよ。だから、たたかれたりしてもお父さんと一緒にいたんです。私もそうだったので。いくらひどく怒られても、次の日にはお父さんの後ろにくっついて遊びに行ったりして、甘えていました。
ドラマをご覧いただければわかると思いますが、小林薫さん、麻生祐未さんをはじめ、皆さんとても気さくで、現場は本当の家族みたいです。食事の場面などでは1シーンが終わっても、みんななかなかそこから離れなくて、ずっと会話が続くこともあります。家族とのやりとりがすごく楽しくて、まるで本当の家族の中にいるみたいに演じることができています。
だから、このドラマはひとりの女性が自分の夢を実現していく物語としてもちろん魅力的ですが、家族の物語としても見応えがあると思うんです。
舞台地の岸和田の町については、だんじりを見る限り、元気のある町だなあって思います。だんじりにかける地元の方々の思いの強さには驚かされます。昔からあるお祭りを大事に守って、今もそれを次の世代につなげていくために頑張っているところがすばらしいですね。私のふるさとでも、あんなふうにみんなが心をひとつにするお祭りがあるといいのになあ。
まだまだこれからいろんな人が登場して、きっと糸ちゃんはたくさんの人とかかわっていくんだろうなと想像しています。どんな人と出会うのか、どんな俳優さんが出演されるのか、それを考えるのが楽しみです。
演じる時間が長いというのは、大変というよりも逆にワクワクするんですよ。時代が変わって、次々に新しい展開がありますから。幅広い年代を演じられることが、今はすごくうれしいんです。
渡辺あやさんの脚本がとても面白いので、このドラマを撮っていて、毎日が楽しくてたまりません。その楽しさが視聴者の皆さんにも伝わるといいなと思っています。