last updated Feb.1,2015.
さまざまな困難を互いに支え合い乗り越えてきた亀山政春(マッサン)とエリー。ふたりのこれまでについて、玉山鉄二さんとシャーロット・ケイト・フォックスさんに語っていただいた。
——物語の中盤で「エリーの流産」「鴨居ウヰスキーの完成」という重要な転機となる出来事が訪れましたが、演じられてどう思われましたか?
玉山 マッサン夫婦にとって、放送10週目頃は幸せの絶頂なんですよね。ポットスチルが完成し、ウイスキー造りの夢が実現しようとしていて、愛する妻には赤ちゃんもできて。でも、ふたりの人生は波瀾万丈で、いろいろな問題や事件を時代とともに突きつけられる。それに正面から立ち向かいふたりで解決していく姿が、この夫婦のすばらしさだと思います。ずるさがなくてピュアで。正面から問題を乗り越えるには、結果、遠回りになることもあるんですけど、そのうまくいかない感じが、この夫婦の味わいではないかと。
シャーロット そう。人生は、いつも幸せなことばかりじゃなくて、つらいことも必ずあると思います。そういう意味でも、このストーリーには本当に共感できます。幸せの絶頂に向けてふたりが人として成長していくので、自分の進むべき道ややるべきことがわかっていきますね。
玉山 そして、放送11〜12週目にかけてがふたりにとっていちばんの転機。もう子どもを望めないという状況で、いろいろな問題を乗り越えることでふたりの絆が深まる。僕が想像するに、不幸なことがあったからこそ、マッサンはいちばん身近にいてくれるエリーを幸せにしなくてはいけないと感じ、エリーの幸せについて深く考えたのではないかと。その中で見つけた答えが、やっぱり自分の夢を叶えることだったんだと思うんです。
シャーロット 私も放送12週目は大好きで、他にも14週目の広島のシーンや、17週目の娘のエマとのシーンも好きです。心が動く感動の瞬間があるのが、私はいちばんいいシーンだと思います。俳優としてだけではなく、本当にその役を生きて感動したり驚いたりしています。
——北海道の余市に移ってからはいかがですか? 強く印象に残るシーンはありますか?
玉山 森野熊虎は、サングラスとか帽子とか、キャラクターが斬新。風間杜夫さんが演じると、さらに強烈なインパクトです。マッサンは営業職になり、自信をなくして失意の中で北海道に渡り、北海道の魅力を前にして一度すべてを忘れようとする。そこで熊虎に出会うわけですが、ニシン御殿のセットを見て「竜宮城みたいだな」と。夢の中みたいで、皆ニシンだったんじゃないかと思ったくらい(笑)。
シャーロット 風間さんは本当にアメージングな人! いい意味で演技を楽しんでいる印象を受けました。周囲と壁を作ることなく、共演者を包み込んでくれるような大きさと柔らかさを持っているんです。一緒に仕事ができてうれしくてたまりません。それに、私は風間さんに日本語で一生懸命話しかけるんですけど、それに対して、風間さんは一生懸命英語で返そうとしてくれるんです(笑)。
——ハードなスケジュールの中で、おふたりはどのように支え合ってきたのでしょう?
玉山 それはね、僕は台本の中に答えがあると思います。シャーロットさんの幸せや苦しみを自分のものとして感じられるかどうか。それがすごく大事だと思います。声をかけるより、黙って笑顔を向けたり肩を抱いたりするだけで、言葉以上に大きなものが与えられる場合もある。それを「マッサン」を通して培い、教えてもらいました。おかげで僕は、これからもっと妻に優しくできると思う(笑)。初めて本格的に夫役を演じ、考えが大きく変わりました。
シャーロット 私もそう思います! 毎日、何時間も一緒にいてコミュニケーションをとっているし、セットを離れても顔を合わせているので、声をかけ合うだけじゃなく、ただ顔を合わせることで互いに慰められたり慰めたりということを感じてきたと思います。中島みゆきさんの「夜会」に一緒に行かせていただいたときも、自然に習慣のように腕を組みそうになってしまって! ふたりはそれぞれ結婚しているのに(笑)。
玉山 そうそう、あのとき実は、僕はマッサンを見習ってエスコートしようと頑張ってみたのですが、これがなかなか自然に振る舞うことができず、難しいものだなぁと(笑)。