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砂丘へ昆虫採集に来た男が、女がひとり棲む穴底の家に囚われてしまう。退屈な日常から逃げ出そうとした男が、今度は蟻地獄のような砂の世界から抜け出そうともがく……。
教養を盾に部落の人間を啓蒙しようとする男の驕りと、生活のため繁殖のために男を引き留めようとする女の業。その対比と、しだいに砂穴での暮らしに順応してゆく男の変化をリアルに、飄々と、ときにアイロニカルなユーモアを交えて描写する人間観察の傑作。画学生時代から安部作品を愛読してきた漫画家のヤマザキマリ氏が、「自由」や「希望」の多義性に注目しながら解説する。
チャンネル | 放送日 | 放送時間 |
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Eテレ(本) | 月曜 | 午後10:25~10:50 |
Eテレ(再) | 水曜 | 午前5:30~5:55 |
Eテレ(再) | 水曜 | 午後1:05~1:30 |
漫画家・エッセイスト。1967年生まれ。17歳のときに渡伊、国立フィレンツェ・アカデミア美術学院で油絵と美術史を専攻。エジプト、シリア、ポルトガル、米国を経て各地で活動したのち、現在はイタリアと日本を拠点に置く。1997年より漫画家として活動開始、2010年、『テルマエ・ロマエ』(エンターブレイン)で第3回マンガ大賞、第14回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。ほかの主な漫画作品に『スティーブ・ジョブズ』(講談社)、『プリニウス』(とり・みきとの共作、新潮社)など。エッセイに『ヴィオラ母さん――私を育てた破天荒な母・リョウコ』(文藝春秋)のほか、『国境のない生き方――私をつくった本と旅』(小学館新書)、『たちどまって考える』(中公新書ラクレ)など多数。2022年5月、安部公房の作品論『壁とともに生きる――わたしと「安部公房」』(NHK出版新書)を刊行。2015年度芸術選奨新人賞受賞、2019年、日本の漫画家として初めてイタリア共和国星勲章・コメンダトーレを受章。東京造形大学客員教授。