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数々の迫害に耐えつつ、「法華経の行者」としての生涯を貫いた日蓮。他宗や幕府を盛んに批判したため、激烈なイメージが付きまとうが、信徒たちに送った手紙には、家族を失った人の悲しみに寄り添う深い思いやりや、病と闘う人への励まし、人間関係や職場でトラブルに直面したときの対処法など、人間味あふれる実像がにじみ出ている。また、女性信徒の悩みに答える手紙も多く、月経を不浄なものと見なす価値観に異を唱えたり、女人成仏についての思想を語るなど、当時としてはたいへん先進的な女性観も披露している。相手の立場や性格を考慮しながら具体的に書き分けられた多様な手紙を手がかりに、日蓮の生涯と信念を読み解く。
チャンネル | 放送日 | 放送時間 |
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Eテレ(本) | 月曜 | 午後10:25~10:50 |
Eテレ(再) | 水曜 | 午前5:30~5:55 |
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仏教思想研究家・作家。1951年長崎県島原市生まれ。九州大学理学部物理学科卒、同大学院理学研究科修士課程修了。東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。1991年から東方学院で中村元氏に師事し、2002年に文系ではお茶の水女子大学で男性初の博士(人文科学)の学位を取得。著書に『法華経とは何かその思想と背景』(中公新書)、『差別の超克原始仏教と法華経の人間観』(講談社学術文庫)、『テーリー・ガーター尼僧たちのいのちの讃歌』(角川選書)、『梵文『法華経』翻訳語彙典』(全2巻、法藏館)、『法華経誰でもブッダになれる』(NHK「100分de名著」ブックス)など。訳書に『日蓮の手紙』(角川ソフィア文庫)『梵漢和対照・現代語訳法華経』(上下巻、毎日出版文化賞受賞)、『梵漢和対照・現代語訳維摩経』(パピルス賞受賞、いずれも岩波書店)、『サンスクリット版全訳維摩経口語現代語訳』(角川ソフィア文庫)など。小説に『サーカスの少女』(コボル)。